従業員の退職と労務管理について

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従業員の退職

従業員が退職、長年勤めた会社を辞めるべきかどうか悩んだ末の退職の意思表示であれば、その精神的な負担も相当なものであったと容易に想像できますが、頼りにしていた労働者の退職は、会社にとってもそれは同じである。労働者が退職の意思表示を行った理由は、勤続年数や世代別による価値観の違いなどにより、人それぞれだろうが、どのような退職であっても会社は労働者の退職による事態による無用なトラブルが発生しないよう就業規則を整備し、日常の労務管理で対応できるよう体制を整えてダメージを軽減させる措置を取ることが重要である。

退職を巡るトラブル

パワハラやセクハラ等のトラブルを原因として自ら退職届を提出したときや、会社が行った解雇事由を不服としたときなど、会社に原因がありそうな場合には容易にトラブルが発生する虞があると思い浮かべることができると思いますが、その他に退職を巡るトラブルとなると、なかなか思い浮かばない場合も多い。たとえば、労働者の恣意的な退職の場合、若手や中堅従業員が突然キャリアアップを目指したいので転職した場合や、基幹社員がより良い労働条件を求め就職した場合など、会社は労働者の突然の退職により、企業の組織系統の混乱による損害の発生、基幹従業員の退職となると企業のノウハウや機密情報の流出のおそれ、従業員に教育のために投下した教育訓練費の取扱等といったものを巡るトラブルを想定することができます。さらに、経営者が知らない間に、勤務時間中に転職のために他社の面接や採用選考試験を受けた結果、「内定をもらったので退職します。」と退職を申し出てきたのに、後日「退職の意思表示を撤回します。」と申し出てこないとも限りません。このような場合も対処方法を考えておかなければなりません。

職業選択の自由と強制労働の禁止の遵守

対策を考えるためには、日本国憲法第22条第1項により公共の福祉に反しない限り職業選択の自由の保障が謳われており、罰則の定めのある労働基準法第5条では強制労働の禁止が規定され、会社は転職する労働者に今後もこの会社で働けと労働を強制することはできず転職を妨害するような行為はしないように注意しなければなりません。しかし、だからといって就業規則で対策が全く打てないということではありません。労働者と使用者の関係は私的な契約関係であるため、上記のようなトラブルを防止するために就業規則を整備を考え、その権利の行使は民法の規定を適用して解決すべき事柄でもあると考えます。

日常の労務管理が重要

当事務所では、退職に関する就業規則の規定の作成する場合には、退職者の仕事の引継に必要となる退職の手続とその効力の発生時期、機密情報の管理、教育訓練費の取扱の整理等の数多くの規程の整備とともに、退職の申し入れの撤回の場合では、退職願の取扱や退職の撤回に関する判例を参考に、日常の労務管理での対応策を提案することで解決策を目指せるようにしています。このような退職を巡る手続では、他の労働者に与える様々な影響を与える場合がありますので、企業内にて日常の労務管理での適正な運用が非常に大切であると考えているからなのです。

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