雇用契約書と就業規則の関係

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いつもお世話になっております。
今回のスタッフブログは久しぶりのQ&A形式です。
例えば、こんなケースがある場合……




従業員から「就業規則の内容と雇用契約書の内容に違う点がある」との指摘がありました。確認してみると、雇用契約書記載の内容の方が従業員に有利な部分がありました。この場合、どちらの内容を適用したらよいのでしょうか。



A 雇用契約書の記載を適用することとなります。




(1) 雇用契約書とは




雇用契約書は、文字通り、雇用契約の内容を定めた書面です。雇用契約は、労働契約法という法律では「労働契約」と呼ばれており、「労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する」と定められています(労働契約法第6条)。
つまり、この合意の内容(労働契約の内容=労働条件)を定めた書面が、雇用契約書ということです。
合意は使用者と労働者とが一対一で個別に行うものなので、雇用契約書もその個別の内容が反映されているということになります。




(2) 就業規則とは




就業規則は「事業場に共通して適用される職場規律や労働条件を定めた、使用者が作成する書面」です。
雇用契約書とは異なり、使用者とその事業場の労働者全体の関係が反映されています。

就業規則も労働条件を定めた書面であるため、雇用契約書の内容と差異がある場合にどうなるかという問題が生じます。
この点について、労働契約法では、原則として就業規則が適用されるとしつつ、(1)でみた個別の労働契約の内容が就業規則よりも労働者にとって有利であれば、その有利な部分は個別の労働契約の内容が適用されるとしています。
ご質問の場合もこのパターンに当てはまるため、雇用契約書記載の内容が適用されることとなります。

なお、就業規則よりも個別の労働契約の内容の方が労働者にとって不利な場合、その不利な部分は無効となり、就業規則が適用されることになるため、注意が必要です。




最後までお読みいただきありがとうございました。

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